ホルン(Horn, horn)は金管楽器の一種。イタリア語ではCorno(コルノ)、フランス語ではCor(コール)と言い、もともと「角」の意味を持った言葉であるが、古くから「角笛」を意味してもいた。現在ではホルンとは、一般にはフレンチ・ホルンを指すことが多い。
なおホルンと名のつく金管楽器にサクソルン族のフリューゲルホルン、アルトホルン、テナーホルンなどが有るが、これらはマウスピースやバルブの構造、管体の形状からホルンとは区別される。マーチングなどでホルンの代わりなどに使われるメロフォンは外観はホルンに似ているが別の楽器である。またホルンを名前に含む楽器に木管楽器でオーボエ族のイングリッシュホルン(コールアングレ)やクラリネット族のバセットホルンなどがある。これらはもちろん金管楽器であるホルンとは直接の関係はないが、ホルンを名前に含む楽器がこのように多いことから、ヨーロッパの吹奏楽器の歴史の中で角笛が重要な位置をしめていたことが伺える。2007年度のギネス・ワールド・レコーズ認定の世界で一番難しい金管楽器である。
フレンチ・ホルン [編集]
フレンチ・ホルン(英語:french horn)はカタツムリのような形状に巻かれた円錐状の管と、3つから5つの、通常はロータリー式のバルブ(弁)を持つ。へ調と変ロ調の調性を持った楽器があり、それぞれF管、B♭管と呼ばれるが、一般的には、それらを一つに組み合わせ「切換バルブ」と呼ばれる特殊なバルブで切り換えられるものが多用される。単一の調性の楽器をシングル・ホルン、2つの調性を持つものをダブル・ホルンと言って区別するが、ダブル・ホルンに一般的なヘ調より1オクターブ高い「ハイF」などを追加したトリプル・ホルンと呼ばれるものも存在する。
ホルンの管体は0.3-0.5mm程度の薄い真鍮素材で作られている。ホルンの管体部はその真円形状を保つため、高温で溶かした鉛やタール等の充填材を流し込み、曲げ加工の後その充填材を取り除く形で制作される。大量生産の場合には管体に水を通してそのまま凍結し、曲げ加工の後氷を融かして外に出し、管体を型にはめて内部から圧力をかけることで完全な形に仕上げる工法が取られている場合もある。
英語圏ではhornという単語が金管楽器一般に用いられるため、他の金管楽器と区別する為にこの楽器にはフレンチ・ホルンという名称が一般的に用いられる。名前からフランス発祥の楽器かと思えるがそうではなく、たまたま英国にはフランス宮廷文化の一部として伝わった事により「フランス趣味のホルン」の名が冠されたものである。ドイツ語では同じ様な理由で動物の角(hornの原義)と区別するため、「森のホルン」(ヴァルトホルン、Waldhorn)という名称が用いられる場合もある。
金管楽器であるが、音色のやわらかさから金管楽器のみならず木管楽器ともよく調和する。通常の木管五重奏では標準的にホルンが加えられているが、初めて木管五重奏が書かれた時代(18世紀後半から19世紀初頭)のホルンは後述するナチュラルホルンであり、バルブ操作を必要とする用い方はしていない。
シングル・ホルン [編集]
シングル・ホルン(Single Horn)は、単一調の管のみによって構成される形態をとる。一般にヘ調または変ロ調の管を用い、それぞれFシングル・ホルン、B♭シングル・ホルンと呼ばれる。楽器が軽くて扱いやすいほか、構造が比較的簡単なため価格が安く、特にFシングルのものはナチュラル・ホルンに最も近い音を出すことができる。また、B♭シングルのものは軽い吹奏感が好まれる。
Fシングル・ホルンは、音色は良いものの、管が長く高音の倍音間隔が狭いためミスを起こしやすく、操作性が悪い。一方B♭シングル・ホルンは、F管に比べて操作性は良いが、音色が劣る。両方の利点を組み合わせたダブル・ホルンの誕生と普及により、シングル・ホルンはあまり使用されなくなっている。
また、通常のF管より1オクターブ高い音域を演奏できるHigh-F管(F-Alto管)のものをディスカント・ホルン(Descant Horn)と呼ぶ。管長が通常のFシングル管の半分しかなく、倍音の間隔が広いため、高音域の操作性がB♭管や通常のF管よりも高くなる。しかし操作性と引き換えに音色はB♭管や通常のF管よりも劣る。バッハのブランデンブルク協奏曲のような高音域が使用される曲の演奏にはこのディスカント・ホルンが用いられることがある。
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